カルマプレッサーとの語らい:「完璧な人生について」ジェシアはカルマプレッサーが様々な人物と会いながら人の心を感じ取れることを仕事に活かしていたということを知り、彼の作った夕飯を口にしつつ「今までに完璧な人生を送り続けている人と会ったことはあるの?」と疑問を投げかけた。するとカルマプレッサーは、続きを読む「カルマのことにしか携わらないので、世界の幸不幸の仕組みは知ろうとも思いません。興味が無いのです。」と言い放つ。投げやりな回答にジェシアは少しムッとして何かを言い返そうとしたが、カルマプレッサーは間髪入れず言葉を続けた。「ですが、色々な人間を見てきたものの、いわゆる人の言う美貌・富・名声・健康といったわかりやすい幸福を全て兼ね備えた人物には未だ出会ったことはありませんね。」その発言にジェシアは食べ終わった食事の皿を脇に移動させて少し身を乗り出す。「実際には存在したのかもしれませんが、不可視の部分…心の内では満足がいっていなかったのかもしれません。きっとそのせいで大して幸福そうだとは思えなかったのでしょう。」その言葉にジェシアは理解し難いといった様子で訝しげな表情を浮かべたが、カルマプレッサーは構わず更に言葉を続ける。「要は、本人の感じる幸福度を加味すれば、いかに外面が恵まれていたとしても他の人々と大して人生に対する評価点数は変わりないのではないか?とワタクシは推測いたしますね。いくら実利や外面的に恵まれていたとしても敬遠され信頼できる存在がいなければ孤独感を加速させるだけでしょう。」その発言に「的外れではない」と考え直し、ジェシアは思わず迫り出していた身を少し引いて姿勢を正した。「幸福とは当人の心次第ですし、死後には何も持ち込むことはできませんし。つまり、人生の質とは死を迎える瞬間をどれ程納得した状態で迎えることができるか、が全てなのではないでしょうかね。」カルマプレッサーは語りながらすっかり自分のゾーンに入った様子で目線は記憶を引き出すようにぼんやりと空を捉えていたが、まだ話には続きがありそうだとジェシアは何も言わず次の言葉を待ち続ける。「仮に満たされずに終わったとしても、自らが残したものが後に残る大切な存在を幸福にしたり、知らぬ場所で実は願望が成就できていたりするかもしれませんし。何より…」そこで一旦言葉を区切るとカルマプレッサーはそっと目線をジェシアに移した。「そういう方々は生まれ変わった先の人生で、しっかりと納得のいく幸福を掴んでいらっしゃっている可能性もあるでしょう。」「そのための輪廻転生です。」と言葉を添え、紅茶を啜りながらカルマプレッサーが満足げに目を細めた。その視線の先で、ジェシアは自分の手元に視線を落としながら先立った父親を思い浮かべていたが、カルマプレッサーが「まぁ、誰も彼もが上手に生きてしまうとワタクシの楽しみが減ってしまうので、嫌なんですけどね。」と、先ほどまでとは打って変わったいつも通りのパフォーマーモードのテンションで沈みかけた空気にまたいつも通りの温度感を取り戻す。「結局あなたはそれなのね。」ジェシアは呆れた様子でため息をついて項垂れるようなモーションをとったが、隠した表情を緩めると聞き取れないほどの小さな声で「ありがとう。」と呟いた。畳む#羯磨催促人 2024.9.19(Thu) 23:50:22 エピソード
ジェシアはカルマプレッサーが様々な人物と会いながら人の心を感じ取れることを仕事に活かしていたということを知り、彼の作った夕飯を口にしつつ「今までに完璧な人生を送り続けている人と会ったことはあるの?」と疑問を投げかけた。
するとカルマプレッサーは、「カルマのことにしか携わらないので、世界の幸不幸の仕組みは知ろうとも思いません。興味が無いのです。」と言い放つ。
投げやりな回答にジェシアは少しムッとして何かを言い返そうとしたが、カルマプレッサーは間髪入れず言葉を続けた。
「ですが、色々な人間を見てきたものの、いわゆる人の言う美貌・富・名声・健康といったわかりやすい幸福を全て兼ね備えた人物には未だ出会ったことはありませんね。」
その発言にジェシアは食べ終わった食事の皿を脇に移動させて少し身を乗り出す。
「実際には存在したのかもしれませんが、不可視の部分…心の内では満足がいっていなかったのかもしれません。きっとそのせいで大して幸福そうだとは思えなかったのでしょう。」
その言葉にジェシアは理解し難いといった様子で訝しげな表情を浮かべたが、カルマプレッサーは構わず更に言葉を続ける。
「要は、本人の感じる幸福度を加味すれば、いかに外面が恵まれていたとしても他の人々と大して人生に対する評価点数は変わりないのではないか?とワタクシは推測いたしますね。いくら実利や外面的に恵まれていたとしても敬遠され信頼できる存在がいなければ孤独感を加速させるだけでしょう。」
その発言に「的外れではない」と考え直し、ジェシアは思わず迫り出していた身を少し引いて姿勢を正した。
「幸福とは当人の心次第ですし、死後には何も持ち込むことはできませんし。つまり、人生の質とは死を迎える瞬間をどれ程納得した状態で迎えることができるか、が全てなのではないでしょうかね。」
カルマプレッサーは語りながらすっかり自分のゾーンに入った様子で目線は記憶を引き出すようにぼんやりと空を捉えていたが、まだ話には続きがありそうだとジェシアは何も言わず次の言葉を待ち続ける。
「仮に満たされずに終わったとしても、自らが残したものが後に残る大切な存在を幸福にしたり、知らぬ場所で実は願望が成就できていたりするかもしれませんし。何より…」
そこで一旦言葉を区切るとカルマプレッサーはそっと目線をジェシアに移した。
「そういう方々は生まれ変わった先の人生で、しっかりと納得のいく幸福を掴んでいらっしゃっている可能性もあるでしょう。」
「そのための輪廻転生です。」と言葉を添え、紅茶を啜りながらカルマプレッサーが満足げに目を細めた。
その視線の先で、ジェシアは自分の手元に視線を落としながら先立った父親を思い浮かべていたが、カルマプレッサーが「まぁ、誰も彼もが上手に生きてしまうとワタクシの楽しみが減ってしまうので、嫌なんですけどね。」と、先ほどまでとは打って変わったいつも通りのパフォーマーモードのテンションで沈みかけた空気にまたいつも通りの温度感を取り戻す。
「結局あなたはそれなのね。」
ジェシアは呆れた様子でため息をついて項垂れるようなモーションをとったが、隠した表情を緩めると聞き取れないほどの小さな声で「ありがとう。」と呟いた。畳む
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